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全国の削り士たちが集う!第41回削ろう会の全国大会が交野で開催!いろいろ聞いてみた

皆さんは家などを建てる大工さんの作業を見たことはあるでしょうか。

例えば家を建てる場合、すごく簡単に言えば、大工さんは木材を切ったり、削ったり、そして組み立てたりする作業を行います。

▼参考「大工さんになるには?」


木材加工というもう少し広い観点からも、例えば鋳造作業において、鋳型を作る際に木材で中子(鋳型の中の空洞を作るときに使われる)を作り、それを使って様々な形状の鋳型を作るということもあります。

木材の加工という点では、木製の中子を作る際も、大工さん同様、木材を切ったり、削ったりする作業が行われます。

このように、木材を使った様々な製品が我々の生活を支えていると言えます。

日本は「ものづくりの国」と言われていますが、日本の製造業を支えているのは、日本国中にいる職人さん達です。

ところが、少子化などの影響で日本の生産現場は、かつてないほどの人手不足に直面し、その優れた技能の後世への継承が危ぶまれる事態となっております。

もとより、AIや様々な無人化テクノロジーも一方で発達し、そうした問題の解消に一役買っているのも事実です。

とはいえ、「人は城、人は石垣、人は堀」と武田信玄が述べたように、「人がものをつくる」という原点は変わっていませんし、これからも変わることはないでしょう。

こうした意味からも、日本経済を支えるものづくり人材の育成は急務の課題の一つと言えるでしょう。

少々前置きが長くなりましたが、そうした職人の技に触れることのできるイベントが、4月12、13日の2日間にわたって、いきいきランド交野で行われます。

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第41回削ろう会全国大会 大阪交野大会のポスター

「第41回削ろう会全国大会 大阪交野大会」と銘打たれたこのイベントは、全国からかんな削り自慢の職人さんやアマチュアが参加し、以下に木材をかんなで薄く削ることができるかを競う大会です。

大会は、一般の部、女性・学生の部、五寸鉋(かんな)の部に分かれて行われます。

大阪で開催されるのは、実に26年ぶり(前回は、1999年に松原市で開催された)ということで、それに合わせていきいきマルシェも開催され、とても賑やかなイベントとなるかと思います。

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削ろう会と同時開催のいきいきマルシェのポスター

ということで、今回は、第41回削ろう会全国大会 大阪交野大会の実行委員長である、日伸建設代表取締役の菅村さんに今回のイベントについてお話をお伺いしました。

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菅村さん

(博士@交野タイムズ)
「よろしくお願いします」

(菅村さん)
「よろしくお願いします」

(博士@交野タイムズ)
「まずは、削ろう会についてお教えください」

(菅村さん)
「削ろう会は、今から28年前(1997年)に技術交流の場として愛知県でスタートし、その後いろいろなつながりができ、26年前には大阪で削ろう会が開催されました」

「(削ろう会は)鍛冶屋さんが切れ味のいいカンナの刃先を追求することができるのかや、大工さんはそのカンナを使ってどれだけ薄く木材を削ることができるかなどの手道具の技術交流の場であります」

「さらに、1年に1回、カンナで可能な限り薄く木材を削ることを競う「全国大会」と称するイベントを開催しています」

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昨年のクリスマスマルシェでかんな削りのデモンストレーションを行う
(ちなみに、日伸建設の大工さんは亀岡での大会の優勝者)

(博士@交野タイムズ)
「ありがとうございます」

「では、削ろう会全国大会の目的についてお聞かせください」

(菅村さん)
「日本の鍛冶屋さんの技能は世界でも認められています」

「世界中の人がそれを真似しようとしたり、世界の木工家さんたちが日本の刃物を買うためにわざわざ日本へ来たり、ネットを通じて購入したりしています」

「ところが、日本ではそうした鍛冶屋の技術が衰退する方向に進んでいます」

「ある種のこうした矛盾をどうしたら克服できるのであろうかと考えた時、次世代を担う子どもたちにものづくりの大切さを伝えていきたいと思っています」

「とりわけ、我々の業種である木工業の一端に触れてもらって、「ああ、木ってこんなにおいがするんだ」とか何かを感じてもらって、大工さんや鍛冶屋さんになりたいと思ってくれる機会となればと考えております」

「また、職人にあこがれを持ってくれる子どもたちを増やすだけではなく、削ろう会全国大会を通じて木の良さや木の家の良さというのを知ってもらって、木工製品や木造住宅への将来にわたるニーズも増やしていきたいと思っています」

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菅村さんが代表取締役を務める日伸建設は自然素材の家づくりにこだわっている

(博士@交野タイムズ)
「ありがとうございます」

「では、今回の「第41回削ろう会全国大会 大阪交野大会」についてお聞かせください」

(菅村さん)
「今回のイベントは、4月12日と13日の2日間にわたっていきいきランド交野で開催されます」

「もともと、今から1年半ほど前に知り合いの方から「2年後をめどにイベントを開催しないか」というお話を頂戴しました」

「お引き受けする際に、我々の拠点はやはり交野ですから、「交野で開催したい」というお話でお引き受けいたしました」

「開催するのに山あり谷ありではありましたが(笑)、何とか開催することができるようになりました」

「今回の大会には、400人ほどが競技に参加してくる予定です」

「そのほかの鍛冶屋さんやボランティアさんなども含めると、参加者は500人ほどになります」

「競技はかんなでどれだけ木材を薄く削ることができるのかを競うもので、子ども向けには少し厚めに削れるようにしていますが、上位入賞者の削りかすは、向こうが透けて見えるくらい薄いもので、光にかざすときらきらと輝くものになります」

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環境フェスタ2025の時のかんな削り体験の様子

「サブアリーナでは、子どもたちが木や道具に直接触れることのできる体験コーナーが設けられております」

「今回のショーレンバルで行った箸づくり体験やかんな削り体験、木のジャングルジム、かんなくずのプールなど、子どもたちに楽しんでもらえる工夫もしています」

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今年のショーレンバルの時の箸づくり体験

(博士@交野タイムズ)
「木工業については疎いところがあり申し訳ないのですが、今だと電動かんなとかがあるかと思うのですが、やはり手で削るものとは違うのでしょうか」

(菅村さん)
「電動かんなと手で削るかんなとは全く違います」

「電動かんなは回転式なので、削りかすをよく見ると、丸い跡が進んでいっているようになります」

「手で削ったかんなくずとは、触り心地やつやも全然違います」

「サンドペーパーで木を磨くと、どうしても表面が毛羽立ってしまいます」

「手かんなで仕上げた木材は、そうした毛羽立ちを抑えてくれ、また撥水効果も多少高めてくれます」

「なので、昔の建物は手かんなですべて行っていたので長持ちするんです」

(博士@交野タイムズ)
「では、最後にタイムズの読者にメッセージをお願いします」

(菅村さん)
「イベント当日は、メインアリーナでの競技はもとより、子どもたちのみならず大人も楽しめるような工夫を凝らしております」

「例えば、グラウンドでは棟上げ式をやったり、木材を専用の工具で斫る(はつる)ような古式製材のデモンストレーションを行う予定です」

「来ていただいた皆さんが楽しんでいただけるようなイベントを多数計画しておりますので、ぜひ第41回削ろう会全国大会にお越しいただけるようお願い申し上げます」

(博士@交野タイムズ)
「菅村さんありがとうございました」

(菅村さん)
「ありがとうございました」

戦後の日本の成長を支えてきたのは、高い技能を持ったものづくりだと言われて久しいですが、少子化やいわゆる団塊の世代の大量退職によって、戦後日本経済を支えてきたものづくりの次世代への継承がうまくいっていない面があるかと思われます。

先述のように、AIや無人化テクノロジーの発達でそれをある程度は克服することはできるかもしれませんが、人のみが持つ官能的な技能(製品で出来栄えを判断する力など)をそれらに期待するのはまだ早計なように感じます。

そうであるとするなら、ものづくりの世界に魅力を感じ、そこで働く次の世代を育てていくことが依然として必須であると言えるでしょう。

そうした意味でも今回の第41回削ろう会全国大会 大阪交野大会は意義のあるイベントだと言えます。

ともかくも、4月12日、13日の2日間、木に直接触れてそのぬくもりや優しさを感じることができるイベントがいきいきランド交野で開催されますので、ぜひ足を運んでみてください。

また、今回のイベントに合わせ、交野の魅力がいっぱい詰まったいきいきマルシェも今回は2日間開催されます。

「第41回削ろう会全国大会 大阪交野大会」についての詳しい内容は、大会ホームページ等でご確認ください。

▼第41回削ろう会全国大会 大阪交野大会のホームページ


▼削ろう会のホームページ


(謝辞)今回インタビューにお答えいただいた、第41回削ろう会全国大会 大阪交野大会実行委員長の菅村さんに改めて御礼申し上げます。



ライター:katano_times katano_times


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