交野市議会議長インタビュー【新春特別企画】
同記事内でも書かせていただきましたが、いわゆる「交野政治」が大きく動こうとしている時に、その中心にいる方々にお話をお伺いしようと考えインタビューを敢行致しました。
今回は、議会側のキーパーソンのおひとりである、三浦美代子交野市議会議長(以下「三浦議長」と略す)にお話をお伺いいたしました。
三浦交野市議会議長(左)博士@交野タイムズ(右)
インタビューをご快諾頂いた三浦議長に深く御礼申し上げますとともに、三浦議長とのインタビューの調整をいただいた交野市議会事務局の方々、そして今回の写真撮影にもご協力をいただいた交野市情報マーケティング課の方にも御礼申し上げます。
以下、三浦議長へのインタビューです。
(博士)
本日はよろしくお願いいたします。
(三浦議長)
よろしくお願いいたします。
(博士)
早速ですが、昨年9月の市議会議員選挙後の議会で議長に選出されたと思うのですが、議長就任からこれまで約3か月の感想をお聞かせください。
(三浦議長)
議長職は、今回で3回目となります。
これまでも議長職を務めてまいりましたが、1回目と2回目の議長と、今回の3回目の議長とでは、感覚が全く違うと思っております。
1回目の議長の時は、「へー、議長ってこうなんだ、ああなんだ」という感覚で、1議員とは違い議長として見えてくるものが変わってきたという感覚でした。
2回目の時も同じような感じでしたが、今回、3回目の議長就任は、議会での年長者、そして会派でも年長者ということもあり、議会での役割に今まで以上の重みを感じております。
今回の議会選挙では、若い新人議員が多数当選し、またコロナ禍が明けたときの議長ということでもありました。
また、議会の構成からかなり大変な議会になるでは、と言われておりましたので、覚悟をもって今回の議長職をお引き受けさせていただきました。
(博士)
なるほど、相当な覚悟をもって今回の議長をお引き受けになられたということで大変な決断だったと思います。
これまでも議長を務められたとのことですが、慣れないものですか。
(三浦議長)
政治はその時その時で流行りがございます。
議長として、その時、その時は一生懸命だったのですが、(今回の議長の役目は)これまでと全く異なっていると言っても過言ではありません。
ただ一貫していることは、一議員三浦美代子ではなく、議長として、理事者(議会で市役所側として答弁する市役所の幹部職員のこと)とどう対峙していくかということは一貫しているかと思います。
議長としてどう議会を差配していくかということを常に考えながら1回目も2回目も、そして3回目も務めております。
(博士)
ありがとうございます。
議長という役目は、色々なことに目配せをしながら務めなくてはならないということですが、「議長」という仕事についてもう少しお話願えるでしょうか。
(三浦議長)
議長という役目は、議会の代表として、様々な外部団体の集まりであいさつをさせていただくというのが、市民の方々にとって一番なじみのあるものかと思います。
こうしたことをしつつ、議会では、市長や市が作成した予算に対して議会の賛否を決めるというのも議長の仕事です。
多くのケースではある程度スムースに議事が進行するのですが、案件によっては議論百出になることもありますので、そういう時は議会や理事者側と話をして調整することも議長としてございます。
議長として、「何を議論するべきか」ということを明確にして、委員会や議会の運営を行わなくてはならないと思っております。
(博士)
ありがとうございます。
では、「議会」と「市長・市役所」との関係性についてお教えください。
(三浦議長)
議会は、市長や市のある意味で「おもし」とならなくてはならないと思っております。
これまでも、市長や市が議会を軽視するような姿勢を見せたときは、議長として厳しく意見させていただきました。
議会は市民の方々に選ばれた人たちで構成された機関でありますので、そうした議員たちに市長や市が敬意を示さない場合は、議長として厳しい意見を言わせていただいております。
(博士)
議長にこんなお話をするのは、「釈迦に説法」だとは思いますが、日本の地方自治は、いわゆる「二元代表制」と呼ばれる制度を採用しています。
つまり、首長は市民の直接選挙で選ばれる一方、議会の議員も直接選挙で選ばれます。
こうしたことから、首長と議員両方が直接選挙で選ばれた「市民の代表」ということになります。
とりわけ、議会は、議長も仰ったように、市長や市役所などの行政が実施しようとする政策をチェックし、時には修正をする「おもし」としての役目があるかと思います。
いわゆる「チェックアンドバランス」というものです。
特に議長という役割は、市長や市役所に対してのみならず、議会に対しても「おもし」となる立場だと思います。
(三浦議長)
確かに仰る通りで、私もそうした議長でありたいと思っております。
先程、「二元代表制」と仰られましたが、実際のところ、理事者側の方が議会に対して圧倒的な優位性を持っている部分がございます。
その圧倒的な優位性をより市民寄りに修正していくのが議会の役目だと思っております。
議会と市長は、15対1でバランスを取っています。
市長はおひとりですが、予算権や人事権を持っておられ、非常に強い権限を持っておられると言っても過言ではございません。
そうした市長の長所を伸ばすのも議会や議長の役目ですし、いささか問題だと感じるときは、市長に苦言を呈するのも議会や議長の仕事だと考えております。
市長に対する敬意を持ちつつも、言うべきことを言うというのが議会や議長の役目だと考えております。
(博士)
先述のように、日本の地方自治は、首長と議会との二元代表という形をとっているので、首長と議会がある程度の緊張関係を保ちながら政策を議論し決定していくのが望ましいと思います。
民主主義は様々な定義ができるかと思いますが、「説得と同意」という言葉で説明ができるのではないかと思っています。
すなわち、議会などを通じてお互いが議論を重ね、他者を説得し同意を得る。
これを繰り返し行うことでより民主的な政策決定、およびその遂行が行えるのではないかと考えます。
かつてジェームス・ブライスが「地方自治は民主主義の学校」と言いましたが、地方自治はその規模はもとより、国政のような外交、安全保障などを含んだ国政全般に関わることを議論するのではなく、殊に市町村レベルではより市民に近いテーマを議論する場だと言えます。
それ故、地方自治は政治をより身近に感じやすく、それがどのようなプロセスを経て決定・遂行されるかを市民が学ぶ場、すなわち「民主主義の学校」と言われる所以かと思います。
まずは市町村レベルで政治を知ることで、都道府県や国政レベルの政治や、それらに対する行動の仕方などの理解へとつながっていくものだと言えます。
こうした意味でも市議会の役目、とりわけ市と議会との間に立つ議長という役目は、地方自治、ないしは民主主義の成熟にとって非常に重要な役目だと思います。
ところで、昨年の9月市議会議員選挙では、30代40代の若い議員が多く誕生しました。
(三浦議長)
皆さん高い志をもって議員になられた方ばかりです。
その高い志を持ちつつ、人々の声に耳を傾け、痛みや悲しみがわかる議員になってほしい、と年長者の議員として願っております。
議員というのは、市民から常に監視をされているという自覚が大事だと思います。
その自覚があればこそ、議員として一生懸命に仕事ができると思っております。
ですから私も20年議員をやらせていただいておりますが、今でも電話が鳴ると何か怒られるのではないかとドキッとします(笑)
若い議員さん達には、監視されることを恐れず活動してほしいと思っております。
(博士)
ありがとうございます。
最後に、交野タイムズの読者にメッセージをお願いいたします。
(三浦議長)
今年も不断の努力を続け頑張ってまいりたいと思っております。
(博士)
本日はありがとうございました。
(三浦議長)
ありがとうございました。
今回、いわゆる「交野政治」の今年の行方を探るべく、前回の山本市長へのインタビューに続き、市議会側のキーパーソンのお一人である三浦議長にお話を伺うことができました。
市長側、議長側に「交野政治」に対するそれぞれの思いというのがあることは、今回のインタビュー企画でその一端がお分かりいただけたかと思います。
僭越ながら、政治学者として今回のインタビューで感じたことは、方法は違うことがあるかもしれないが、共に「交野をよくしたい」という共通理解がその根底に流れているということです。
政策の立案・実施をするためには政策環境の整備ということが欠かせません。
その環境を整備するための方法は、先述のように、議論を通じた「説得と同意」を繰り返す作業が必要です。
市長と議会、時には市民を巻き込んだ徹底した議論を通じて交野がより良い方向へと進んでいくことを期待して今回の2024年新春特別企画を終えたいと思います。
(謝辞)今回インタビューをご快諾頂いた、三浦美代子交野市議会議長に改めて御礼申し上げます。また、三浦議長とのインタビューにご尽力いただいた、議会事務局の方々、そして情報マーケティング課の方に改めて感謝申し上げます。