倉治図書館でまちライブラリーのイベントが開催される


左の建物(現在の教育文化会館)の1階がかつて倉治図書館だった
現在の建物は、1996年(平成8年)に建てられ、延べ床面積約900平米ある交野市の図書館です。
2階には交野の郷土史に関する資料も集められており、市内の図書館で最も蔵書が多い図書館でもあります。


たくさんの本が所蔵されている

文部科学大臣からの表彰状も展示されている
地元の方はご存知の方も多いと思いますが、今の図書館が立てられる前は、隣にある現在の教育文化会館が図書館として利用されていました。
かく言う博士@交野タイムズも、子どものころ旧図書館をよく利用していたので、教育文化会館にある歴史民俗資料展示室に入ると、今でもその時の光景がよみがえってきます。
今回、その倉治図書館で、9月23日(土)の秋分の日に、「まちライブラリー ブックフェスタ・ジャパン2023」のイベントの一環として、『トークイベント「本を介したコミュニティづくり」』と題したトークイベントが開催されます。

「まちライブラリー ブックフェスタ・ジャパン2023」とは、同イベントのサイトによると、「日本各地のまちライブラリー、私設図書館、公共図書館、書店、本に関わる活動をしている個人や団体と一緒に、本を通じて人と人、人とまちをつなぐ」をコンセプトに、9月からの「約2か月間のお祭り」と称して各地の図書館や本のある施設でトークイベントやワークショップなどを開催しているイベントです。
また、「まちライブラリー ブックフェスタ・ジャパン」は、「ブックツーリズム」という概念を提唱し、「本の閲覧、貸し出し、身近な人との出会いを日常的に作るきっかけを大切にしたコミュニティ・ツーリズムの一つとして位置づけ」、生活者の充足などコミュニティでの日常生活をより豊かにするツーリズムという考え方を掲げています。
今回、こうしたイベントの一環として開催される倉治図書館でのイベント前に、関係者にお話を伺いました。
交野市教育委員会生涯学習推進部図書館の係長和田さんと、同主任益田さんにお話を伺いました。

(博士@交野タイムズ)
「まずは、今回倉治図書館で開催されますトークイベントについてお聞かせください。」
(和田さん・益田さん)
「今回のイベントは、「本を介したコミュニティづくり―みんなで考える読書の可能性-」をテーマにしたトークイベントです」
「同イベントを行うきっかけは、今年の4月に創設された摂南大学現代社会学部の学生さんたちとのフィールド型アクティブラーニング(Field
Active Learning: FAL)の連携を始めたことです」
「行政との課題解決型授業の実施を北河内の自治体に大学が依頼したところ、いろいろな自治体から手があがったそうです。」
「交野市も数件企画が出たのですが、図書館でのプロジェクトが採用され、今年の4月から学生メンバー6名を受け入れ、企画がスタートしました」
「9月のイベントでは、それまでに行ってきた取り組みの成果発表を行うことにしております」
「本当は12月に学生の成果発表ができたらなと思っていたのですが、10月から2か月の間、倉治図書館が電気工事に伴う休館となるため、急遽9月に行うこととなりました」
「また、摂南大学の先生がまちライブラリー ブックフェスタ・ジャパンの関係者であることから、学生の成果発表によいのではと、同イベントへ参加、開催することとなりました」
摂南大学との共同企画をきっかけに、今回のまちライブラリーのイベントに参加するということになったということで、次に、共同企画の内容についてお伺いしました。
「共同企画の趣旨は、図書館の利用促進、読書活動を目的としたイベントの企画・立案を学生たちと行っていくというものです」
「図書館の利用促進、読書振興について学生6名×3企画=18企画の提案があり、それらのいくつかを行いました」
「例えば、「本を探してスタンプを集めよう」という企画では、倉治図書館内でスタンプラリーを実施し、分類番号を頼りに本棚から1冊テーマに則した本を選び、10個のスタンプを集めるゲームを行いました」

「他にも、「おりがみ&クイズ大会-大学生と一緒に遊ぼう」や「夏を満喫!トランプで遊ぼう―大学生と一緒に作るよ 遊ぶよー」といったイベントを大学生たちが企画・実施してくれました」
「こうしたイベントは子ども向けに行ったものでしたが、今回は大人も対象とした結果、世代を超えて交流がなされ、新たな発見となりました」
いくつになっても楽しいことは楽しいということなのでしょう。


摂南大学現代社会学部の学生さんたちが企画した図書館イベントを伝える
続いて、9月23日のイベントの展望についてお伺いしました。
「我々が摂南大学の学生さんたちと企画を行っていく中で、いろいろなことを学ばせてもらいました」
「とある学生さんが「図書館は敷居が高い」ということを言われたんです」
「私たちはその言葉に「はっ」とさせられました」
「今まで図書館に本があるのが当たり前、そこに来て読んだり、調べたりするのが当たり前、という発想でいたことに気づかされました」
この言葉には博士@交野タイムズも驚きました。
何か調べ物をしたり、自分の手元にない蔵書を借りて読んだりする図書館は、博士@交野タイムズにとって、自らの学問を行う上でなくてはならない存在であり、それがある意味当たり前と思っていました。
これまで、東大や京大の図書館、国立国会図書館、果てはイギリスマンチェスター大学のジョン・リーランズ図書館やマンチェスター中央図書館、アメリカの議会図書館などの海外の図書館にも足を運んできましたが、確かに「格式があるなぁ」とは思いましたが、「敷居が高い」とは考えもしませんでした(むしろ、「世界の素晴らしい図書館をめぐれて幸せ」と感じていました)。


(I Love Machester)
しかしながら、圧倒的な蔵書を前にそれに怯んでしまう人もいるということは、本来「誰にでも開かれた空間」である図書館がその機能を十分に果たしているのかということを、和田さんや益田さんなどの図書館の職員さん、さらには博士@交野タイムズのような多少でも教育に関わったことのある者が一考すべきことではないかということを「敷居が高い」という言葉が教えてくれているように感じます。
そうした意味でも、9月23日のイベントは、とても有意義なものとなるのではないでしょうか。
「9月のイベントでは、第一部は先述の学生たちによる成果発表、第二部はディスカッションを予定しています」
「第二部のディスカッションでは、登壇者として、まちライブラリーの提唱者である礒井純充さん、まちライブラリーの事務局小野千佐子さん、大阪大谷大学教授で交野市図書館協議会会長の木下みゆきさん、摂南大学准教授の松本恭幸さん、そして交野で「まちライブラリーわたしの図書館ミルキーウェイ」を開かれている石田通夫さんらが登壇され、第一部の学生の報告から話を展開する予定です」
「当日は、参加者全員に発言してもらって、いろいろな居場所の形の話ができたらと思っています」
「初めての試みなのでどうなるかはわかりません」
「でも、「図書館は敷居が高い」といういわば「(図書館職員や博士@交野タイムズのように「図書館は当たり前の存在」という考えと違った)本が苦手、読書に興味のない人々」にどうアプローチしていけるかのヒントとなればと思っています」
「コロナ禍で一時倉治図書館の利用者数は減少しましたが、おかげさまでコロナ前の状況まで戻りました」
「コロナ前から、図書館を利用される方の多くがリピーターの方たちで、図書館はいわばそういった方々によって支えられてきました」
「しかしながら、「誰にでも開かれた場」である図書館ですから、できれば多くの方にご利用いただけたらと職員は思っています」
「誰もが「何かを知る」ということは民主主義の基本のひとつであり、図書館は「市民の知る権利を保障する場」として市民社会を支えるもののひとつだと考えております」
「交野市の図書館は、Web サービス(インターネットサービス)による蔵書検索、自動車文庫「ブンブン号」での巡回、市内の小中学校との連携など様々な取り組みも行っております」
「交野市の図書館は、決して目立った活動や先進的なサービス、デザイン性の高い施設ではありません。長年市民の方に便利に使っていただけるよう、サービスの向上を図ってきました。これからも本や読書だけではなく本を介して人とつながる場、また、本のある地域の居場所のひとつとして図書館がかけがえのないところになればと思っております」
最後に、今回のイベントに関しタイムズ読者へのメッセージを頂きました。
「(上記の)企画に際し、プロジェクトメンバーの大学生は市内の図書館(室)でインターン研修を行いました。図書館の実情や課題に触れていただく機会になりました。彼らの成果発表のひとつとして、9月23日に倉治図書館にてトークイベントを開催します。
自由参加ですので、ぜひお越しください」

当日はどんなイベントとなるか、ぜひご参加いただいて体験してみてください。
尚、「まちライブラリー・ブックフェスタジャパン2023」の詳細につきましては、同イベントのホームページをご覧ください。
交野市立図書館のホームページ
↓ ↓ ↓ ↓