日曜原始人~焚き火で肉を焼く日曜日~【連載小説03】
青年は近くにあった枝を手に取る。
見た目より若干重い。
湿っているからだ。
青年はそういえば、と思い出す。
昨日家に帰る途中突然、雨が降り出したのだ。
家のすぐ近くまで帰宅していたため、走ったお陰で余り濡れなかったので覚えていなかった。
濡れている枝は余り燃えない。
サバイバルのプロでは無いが、ある程度は学んだので、そのくらいの事は分かる。
焼けるかもしれないが、美味しいものは出来ないだろう。
さてどうしたものか。
青年は辺りをうろついて乾いた枝を探しながら考える。
文明の利器に頼っても良いけど、流石に焼く事は枝を集めてしたい。
だが、枝は濡れていて余り燃えない。
「どうしたものか」
そう呟いた時だった。
青年の視界には、枯れた立木が目に入った。
「これだっ!」
一人の時は基本無口でテンションも変わらない青年だが、今回ばかりは嬉しくて声を上げた。
枯れた立木の枝は、地面に落ちている枝に比べて湿っていない。
青年は少し笑みを浮かべながら枝を取った。
それからある程度の量を集めた青年は平地に戻り、枝を組み始めた。
満足のいく出来に仕上がると、石で作った䡎に百均でかったボウルを置く。
そこに細かく磨製石器で切った人参を投入。
枝を燃やす。
適当なタイミングで人参をひっくり返したりしていると、良い塩梅に出来上がった。
皿に取り分け、ボウルを横に置く。
次は肉だ。
ささっと串に肉を刺すと、肉が炎の上になるように斜めに地面に刺す。
8本を、炉を取り囲むかのようにして並べたその光景は壮観だ。
良い感じに焼けて、脂が落ちた時だった。
青年の腹は食べ物を求める音を発した。
青年は手を合わせて呟く。
「いただきます」
==つづく==
<日曜原始人>
中学生になった原始人、こども2が交野を舞台に描く小説。
日曜原始人
主人公は子ども2のようですが、24歳という設定のようです。
前回までのあらすじはこちら
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